日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Rosalie Lightning:A Graphic Memoir』
『ロザリー――娘を亡くした夫婦をめぐる回想録』未訳

小児期の原因不明死と、子どもの死をめぐる家族の悲しみ

『Rosalie Lightning:A Graphic Memoir』 <br>『ロザリー――娘を亡くした夫婦をめぐる回想録』未訳
キーワード
小児期の原因不明死
作者
トム・ハート
作品
Publication Date:2016年
Publisher:St.Martin's Press

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 2歳の娘ロザリーを亡くしてしまった体験をめぐる作者夫婦の回想録。娘の突然死は原因不明のままであり、その予期せぬ辛い現実を受け入れていく過程をたどる。娘の父である作者自身にとっても衝撃的な出来事でありながら、娘の母である妻の深い悲しみに寄り添い、彼女を支えていく様子を、その時々の心境や具体的な対処法などを交えて描いている。幼児を亡くしてしまった親は、その死因を自分の責任としてみなしてしまう傾向があると言われる。マンガによって表現をすること、子どもの足跡を形にすることを通して、その深い悲しみを癒していく効果も期待されている。作者はマンガ制作のかたわら、地元のフロリダ大学でも教鞭をとっており、『グラフィック・メモワールの技法――自分の物語を語ることで人生が変わる』(『The Art of the Graphic Memoir: Tell Your Story, Change Your Life』、2018年、未訳)など、マンガの描き方にまつわる著書もある。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。