日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『The Facts of Life』
『人生の厳しい現実』未訳

不妊

『The Facts of Life』<br> 『人生の厳しい現実』未訳
キーワード
不妊
作者
ポーラ・ナイト
作品
Publication Date:2017年
Publisher:Myriad Editions

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 北東イングランドを拠点に絵本作家やイラストレーターとして活動している作者による回想録。子どもの頃、女の子の友だち同士で、身体について、性について、将来について語り合っていた際に、将来は誰かと結婚して家族となり子どもを持つことを疑いもしていなかった。やがて結婚するも、不妊治療に挑み子どもを持つべきかどうか思い悩む。しかし、流産をくりかえしてしまった作者は、「家族」という概念がすなわち、子どもを持つことを暗黙のうちに期待している社会のあり方に疑問を抱くようになる。家族像、夫婦像、ジェンダー観、女性のライフコース、妊娠と不妊をめぐるさまざまな問題が浮かび上がってくる。日本でも、妊娠・出産・育児をめぐるマンガのみならず、「妊活」や不妊治療、子どもを持たない選択にまつわるマンガも多く現われてきている。自分の人生を探りながら歩んでいく筆致が力強い。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。