日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Hey, Kiddo: How I Lost My Mother, Found My Father, and Dealt with Family Addiction』
『やあ、君 ――僕はいかにして母を喪い、父を見出し、家族の依存症に向きあったか』未訳

家族の依存症

『Hey, Kiddo: How I Lost My Mother, Found My Father, and Dealt with Family Addiction』 <br>『やあ、君 ――僕はいかにして母を喪い、父を見出し、家族の依存症に向きあったか』未訳
キーワード
家族の依存症
作者
ジャレット・クロズウスカ
作品
Publication Date:2018年
Publisher:Graphix

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 絵本作家、子ども向けマンガで活躍している人気作家が秘められた生育背景を回想録として発表した話題作であり、全米図書賞の児童文学部門で最終候補作になるなど、マンガの枠組みを越えたヤングアダルトものの名作としてすでに高い評価を受けている。語り手のジャレットの母は若く未婚で彼を出産したが、ヘロインを常用し、盗みをくりかえして刑務所や依存症リハビリ施設に入っていることが多く、3歳の頃にジャレットは祖父母のもとで育てられることになる。母親の愛を渇望するも得られず、父親が誰であるかもわからないまま少年時代を送っていく。依存症の親を抱えた家族のあり方を子どもの視点から描く物語であり、複雑な家庭環境に生きる語り手の、その時々の心の揺れ動きが丁寧に綴られている。やがて作者がマンガ家になることからも、絵で表現することを通して人生の充実を実感していく過程が読みどころになっている。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。 

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