日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Lissa: A Story About Medical Promise, Friendship, and Revolution』
『リッサ――医療の約束、友情、そして革命の物語』未訳

医療と病をめぐる文化的背景

『Lissa: A Story About Medical Promise, Friendship, and Revolution』<br> 『リッサ――医療の約束、友情、そして革命の物語』未訳
キーワード
医療と病をめぐる文化的背景
作者
シ―リーン・ハムディ、コールマン・ナイ
作品
Publication Date:2017年
Publisher:University of Toronto Press

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 人類学者であるハムディ(カリフォルニア大学アーバイン校准教授)、ジェンダー研究者のナイ(カナダのサイモンフレイザー大学助教授)の2人の原作者による学術研究の実践をマンガに応用した興味深い試み。トロント大学出版局の新しい叢書「エスノ・グラフィック」の第1作。エジプトのカイロに暮らすアンナとレイラという親友2人の女性の半生を、子ども時代から大人に成長していくまでをたどる。アンナはアメリカ出身の白人の女の子でインターナショナル・スクールに通っている。地元の学校に通うレイラと親友となり共に成長していくが、それぞれの文化的背景の対照性が浮き彫りになっていく。やがて、アンナの母が乳がん、レイラの父が肝臓病を患ったことにより、両者の医療と病に対する捉え方の違いに焦点が当てられていく。
 さらに、現在はイスラム系アメリカ人としてアメリカに暮らす思春期の女の子を描く別のグラフィック・ノベルを制作中であるという。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。