日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Smile』
『スマイル』未訳

歯科

『Smile』 <br>『スマイル』未訳
キーワード
歯科
作者
レイナ・テルゲマイヤー
作品
Publication Date:2010年
Publisher: Graphix

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 アメリカにおいて女の子のマンガ読者人口を劇的に急増させる契機となった自伝的マンガであり、マンガの枠を越えたヤングアダルト向け作品として高い評価と人気を誇る。一見、グラフィック・メディスンとの連関は意外なものであるが、6年生(11~12歳)の主人公が前歯をケガしてしまったところから物語が展開している点、幼少期の経験を回想録の形で再現している点などからも、グラフィック・メディスンの視点から本作を捉えてみるのも確かにおもしろい。『スマイル』の題名も、前歯をケガしてしまったことからうまく笑えなくなってしまった女の子の気持ちに焦点が当てられていることによる。その後、自伝的要素を織り交ぜたミドルスクール(中学)時代を描く物語『ドラマ』(2012年)や、実の妹との関係性をとりあげた『シスターズ』(2014年、アイズナー賞受賞)など、ヤングアダルト向けマンガのジャンルを確立させた代表作。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。