日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Hyperbole and a Half:Unfortunate Situations,Flawed Coping Mechanisms, Mayhem, and Other Things That Happened』
『誇張と話半分――不運な状況、欠陥のある対処法、大騒ぎ、ほか起こりうること』未訳

精神疾患

『Hyperbole and a Half:Unfortunate Situations,Flawed Coping Mechanisms, Mayhem, and Other Things That Happened』 <br>『誇張と話半分――不運な状況、欠陥のある対処法、大騒ぎ、ほか起こりうること』未訳
キーワード
精神疾患
作者
アリー・ブロッシュ
作品
Publication Date:2013年
Publisher:Touchstone Books

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 もともとはウェブコミックとして発表された作品を一冊の本として再構成した作品集。精神疾患という重たいテーマを軽妙にコミカルに描く。子どもの頃に描いていた落書きのような絵を再現しながら、幼少期の記憶や世界の捉え方を探る試みがおもしろい。ストーリーマンガやエッセイマンガとも趣が異なり、マンガと文章を組み合わせ、幼年期のさまざまな年代の自分自身に対する手紙の形式を中心に展開される。子ども心や、子どもの視点による世界の捉え方を自らが分析しながら、自身の半生をふりかえるユニークな回想録になっている。また、精神疾患を抱える子どもから見える世界がどのようなものであるかが示されている本作を通して、周囲が手助けをする際のヒントを得ることもできる。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。 

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