日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Kid Gloves:Nine Months of Careful Chaos』
『キッド・グローブ――愛情と混沌の妊娠9か月』未訳

妊娠出産

『Kid Gloves:Nine Months of Careful Chaos』 <br>『キッド・グローブ――愛情と混沌の妊娠9か月』未訳
キーワード
妊娠出産
作者
ルーシー・ニズリー
作品
Publication Date:2019年
Publisher:First Second

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 シェフである両親のもとで育った背景から食べ物や料理にまつわる日常を綴った、『レリッシュ――キッチンの中での私の人生』(2013年、未訳)や、6週間のフランス旅行を素材にした『フレンチ・ミルク』(2008年、未訳)をはじめ旅行エッセイマンガでも知られる著者による妊娠・出産をめぐるエッセイマンガであり、日本における同種のジャンルとの比較も興味深い観点になるだろう。妊娠中の身体および心の変化、産婦人科での検診の過程、実際の出産の様子など、エッセイマンガを得意とする作者ならではの洞察力、描き方が読みどころになっている。現代のアメリカにおける妊娠・出産を取り巻く環境がどのようなものであるのかが伝わると同時に、母になる過程を綴る回想録でもあり、女性の表現の可能性を探る試みにもなっている。親しみやすい絵柄により、マンガを熱心に読む層以外にも幅広い読者に届いている。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。