日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『My Degeneration:A Journey Through Parkinson’s』
『私の退行――パーキンソン氏病と共に生きる人生の旅』未訳

パーキンソン病

『My Degeneration:A Journey Through Parkinson’s』<br> 『私の退行――パーキンソン氏病と共に生きる人生の旅』未訳
キーワード
パーキンソン病
作者
ピーター・ダンラップショール
作品
Publication Date:2015年
Publisher:Penn State University Press

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 43歳でパーキンソン氏病を患った作者の回想録であり、患者の視点から身体の兆候と、それに伴う感慨の推移が丁寧に綴られている。作者は地元アラスカの新聞などを拠点にしたマンガ家として25年を超えるキャリアを持つベテラン作家である。それまでごく自然にできていたことが次第に困難になっていく過程を身体的、精神的な変化にあわせてたどり、パーキンソン氏病特有の症例、服薬による副作用や、身体の制御が難しくなっていく様子をマンガによる視覚的な表現で捉えようと試みている。病を抱えながらも、その境遇をあるがままに受け入れていく。医療者からの評価も高い作品であり、パーキンソン氏病患者を身近に持つ家族やケア提供者にとって、同じ症例を抱える患者の視点によるこの回想録は有益な示唆に富むだろう。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。