日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Marbles:Mania, Depression, Michelangelo, and Me』
『マーブルズ――躁と鬱、ミケランジェロと私』未訳

双極性障害

『Marbles:Mania, Depression, Michelangelo, and Me』<br> 『マーブルズ――躁と鬱、ミケランジェロと私』未訳
キーワード
双極性障害
作者
エレン・フォーニー
作品
Publication Date:2012年
Publisher:Avery

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 13歳になる前の頃に双極性障害の診断を受けた作者による自伝マンガであり、精神面、健康をめぐる不安定さを抱えながら、アートとしてのマンガ制作活動に奮闘してきた半生をふりかえる試みとして、グラフィック・メディスンの代表作としてすでに高い評価を得ている。双極性障害が当事者の視点からどのように見えるのか、マンガを通して視覚的に表現している。セラピストとの対話などを踏まえて、精神病をめぐる固定観念を乗り越えようとする姿勢も本作の特色になっている。芸術大学でマンガ創作を教えていることからも、グラフィック・メディスンを理論と実践の立場から牽引している。
 アメリカで先住民族として保留地に育つ少年を描いた、シャーマン・アレクシー『はみだしインディアンのホントにホントの物語』
(さくまゆみこ訳、小学館、2010年)ではイラストを担当しており翻訳も刊行されている。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。