日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Can’t We Talk About Something More Pleasant?:A Memoir』
『もっと愉快な話題はないのかね?――ある回想録』未訳

高齢化(介護と「終活」)

『Can’t We Talk About Something More Pleasant?:A Memoir』<br> 『もっと愉快な話題はないのかね?――ある回想録』未訳
キーワード
高齢化(介護と「終活」)
作者
ロズ・チャスト
作品
Publication Date:2014年
Publisher:Bloomsbury

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 定評ある文芸誌『ザ・ニューヨーカー』にて長年にわたりマンガを寄稿してきた作者による両親にまつわる回想録。作者自身の幼少期の想い出を交えながら、高齢となった両親との8年におよぶやりとりを描く。一人っ子である作者は離れて住む両親を定期的に訪ねていたが、いよいよ生活もままならなくなった彼らに高齢者施設への入居を勧めても、死や介護にまつわる話題自体、受け入れようとしてくれない。なんとか施設に移ってもらえて以降も、すぐになじめない両親に寄り添いながら「終活」のあり方を共に探っていく奮闘ぶりがユーモラスに描かれている(父親が95歳、母親は97歳の時に死別)。全米批評家協会賞の自伝部門を受賞するなど、きわめて高い評価を得ており、文章や写真を織り交ぜた作品であることからも幅広い読者層を誇る。高齢化した両親との向きあい方、娘から見た両親との関係性と、その回想録としての見地など読みどころに満ちている。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。