日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Taking Turns: Stories from HIV/AIDS Care Unit 371』
『テイキング・ターンズ―― HIV/エイズケア371病棟の物語』日本語翻訳版あり

HIV/エイズケア病棟の看護

『Taking Turns: Stories from HIV/AIDS Care Unit 371』 <br>『テイキング・ターンズ――  HIV/エイズケア371病棟の物語』日本語翻訳版あり
キーワード
HIV/エイズケア病棟の看護
作者
MK・サーウィック
作品
Publication Date:2017年
Publisher:Penn State University Press

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 グラフィック・メディスンの中心メンバーの一人であるMK・サーウィックによる回想録であり、1994年から2000年まで、HIV/エイズ専門病棟に看護師として従事していた日々が綴られている。死に瀕していた患者たちと接する中での交流、医療従事者と患者の境界線を越えてしまうのではないかという葛藤、緊張とやりがいに満ちた職場での時間とプライベートな時間とのギャップなど、医療従事者の繊細な心情が淡々とした筆致で描かれている。絵を描くこと、表現することを通して、心の安寧を取り戻していった体験が、やがてマンガの形式に行きつき、グラフィック・メディスンの発起人としての展開に繋がっていく。本作の制作過程は約十年もの歳月を費やした、さまざまな関係者への聞き取り調査に基づいており、1990年代のエイズ・パニックの時代を再検証するオーラル・ヒストリーの記録でもある。
 2021年10月に新しい叢書「グラフィック・ムンディ」から新装版刊行。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。