日本の医療マンガ50年史
医療マンガレビュー

『Aliceheimer’s:Alzheimer’s Through the Looking Glass』
『アリスハイマー――鏡から見える世界』未訳

アルツハイマー

『Aliceheimer’s:Alzheimer’s Through the Looking Glass』<br> 『アリスハイマー――鏡から見える世界』未訳
キーワード
アルツハイマー
作者
ダナ・ウォラト
作品
Publication Date:2016年
Publisher:Penn State University Press

※「初出」は単行本のクレジットに基づいています。

 アルツハイマー型認知症になった母親と娘との交流をめぐる物語であり、『不思議の国のアリス』の連想を下敷きに、アルツハイマー型認知症の母の視点に寄り添うことで、母親アリスの視点
 「アリスハイマー」から世界がどのように見えるかを描く。母アリスはアルメニア系の移民であり、米国ヴァーモント州に暮らしている。娘から見た母親の人生にまつわる回想録にもなっている。認知症によって生活に不便を感じてしまうことは確かに多いけれども、過去のできごとを思い出し、今現在の人との関わりの大切さを感じさせてくれる瞬間も数多いものであるのだろう。母と娘、地域コミュニティ、亡くなった父(母にとっては夫)など、それまでの関係性が変化していく様子が、スケッチのような独特の画風を通して示されている。

【執筆者プロフィール】

中垣 恒太郎(なかがき こうたろう)
専修大学文学部英語英米文学科教授。アメリカ文学・比較メディア文化研究専攻。日本グラフィック・メディスン協会、日本マンガ学会海外マンガ交流部会、女性MANGA研究プロジェクトなどに参加。文学的想像力の応用可能性の観点から「医療マンガ」、「グラフィック・メモワール」に関心を寄せています。