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活動報告

2024年グラフィック・メディスン学会レポート

豊田典子
新潟医療福祉大学
2024年10月1日

※本原稿は英語原文を生成AI翻訳にて作成したものです。原文(English here)もご参照ください。

 2024年のグラフィック・メディスン学会は、「Draiocht」というアイルランド語で「魔法」を意味するテーマのもと、アイルランドのアスローンで開催された。本学会は、健康、病気、介護、障害といった多様な視点を提示しつつ、マンガがいかに想像力と創造力を刺激するかを探求することを目的としたものである。初めての参加であったが、非常に啓発的かつ学びの多い経験となった。

博士論文をマンガで表現

 最も印象に残ったのは、ニック・スーサニス博士による基調講演である。彼は『Unflattening: A Visual-Verbal Inquiry into Learning in Many Dimensions』という博士論文をもとに『Unflattening』を執筆した。この作品は、コミック形式で執筆・イラスト化され、2015年にハーバード大学出版局から刊行された。その後、2016年のアメリカ出版協会人文科学学術優秀賞や2016年のリンド・ウォード最優秀グラフィックノベル賞など数々の権威ある賞を受賞した。YouTubeで視聴可能なスーサニス博士のプレゼンテーションでは、知的探究の媒体としてマンガを活用するという画期的なアプローチが紹介された。このような革新的な論文がコロンビア大学(ティーチャーズ・カレッジ)で受理された事実は驚くべきものであり、残りの学会への期待が高まった。

プログラム概要

 プレゼンテーション、ライトニングトーク、ポスターセッションは以下の6つのテーマに大別された。

1.グラフィック・メディスンとヘルスケア・コミュニケーションおよび教育
2.患者の語りとパトグラフィー
3.ヘルスケアと教育のためのコミック制作ワークショップ
4.コミックにおけるメンタルヘルスと感情的な幸福
5.グラフィック・メディスンにおけるトラウマ、喪失、悲嘆
6.慢性疾患と障害の表現

 最も人気のあったカテゴリーは「グラフィック・メディスンとヘルスケア・コミュニケーションおよび教育」であった。たとえば、「医療教育におけるコミック: 「あらゆる視点」を応用した未来の医師の育成」というプレゼンテーションでは、コミックが医療教育の強力なツールとしてどのように活用されるかが解説された。また、医学博士論文をコミック形式で発表したプレゼンテーションや、アートセラピストが指導する2つのワークショップにも参加した。ワークショップはコミック制作のセラピー効果を体験することを目的としていたが、特に「最近の悲劇を描く」というセッションは、フラッシュバックや感情的な苦痛を引き起こし、非常に困難なものとなった。ただし、プロのカウンセラーがサポートしてくれたことにより、振り返ってみれば、このワークショップはこのメディアが持つ感情的なインパクトをうまく示していたと言える。

日本・アジアチーム!

 本学会では日本のマンガが大きな注目を集めた。中垣教授の発表「『グラフィック・ドキュメンタリー』の手法と社会的機能:日本のマンガが健康関連の社会問題をどのように描いているか」は議論の中で頻繁に言及され、多くの参加者が私に声をかけてきた。また、キャサリン・ウチダ氏とジュリエット・マクマリン氏による「Magical Moments: Reclaiming My Family History through an Analysis of Health in WWII Japanese Internment Graphic Novels(魔法の瞬間:第二次世界大戦中の日系人収容をテーマにしたグラフィックノベルの健康分析を通して家族の歴史を取り戻す)」も好評を博した。中垣教授の発表後には、日本人およびアジアの参加者が集まり、今後の協力の可能性について話し合った。この分野に対する世界的な関心の高まりが浮き彫りになった。

エキシビションとイベント

 学会では展示会、アートショップ、伝統的なアイルランド料理のディナーも開催された。展示会では、視覚障害者向けの触覚マンガや翻案作品に焦点を当てたものもあった。また、カートゥーン研究センターのプレゼンテーションでは、マンガをより身近にする重要性が強調された。伝統的なアイルランド料理のレストランで開催されたディナーは、会場までの凍えるような屋外ボートクルーズや、独特なアイルランド料理に慣れない参加者もいたが、雰囲気や仲間のおかげで印象深い体験となった。

アニメーションと医療

 「医療のアニメーション化:グラフィック・メディスンにおけるヘルスケアコミュニケーションと教育へのアニメーションの影響に関する学際的研究」というタイトルで行ったアニメーションと医療の接点に関するポスター発表は、メインルートから少し外れた場所でのセッションであったため、期待したほど注目を集めることはできなかった。それでも、アニメーションが医療教育でコミックを補完するという私の主張に興味を持つ参加者と、有意義な意見交換をすることができた。このアイデアは好意的に受け入れられたものの、医療教育においてアニメーションがコミックと並んでその潜在力を認識されるには、まだ初期段階にあるようだ。

デンマークのアニメーション・ワークショップ

 学会に先立ち、私はデンマークにあるVIA大学付属のアニメーション・ワークショップ(TAW)を訪問した。TAWはすでに医療教育にアニメーションを効果的に取り入れている。たとえば、TAWは地元自治体と協力し、糖尿病患者向けの短編アニメーションシリーズを制作した。170ページにわたるマニュアルの内容を、理解しやすい教育的なコンテンツに簡素化したものである。このプロジェクトは、アニメーションが医療コミュニケーションを効果的に向上させることを示しており、私自身の研究にも貴重な洞察をもたらした。

ヨーロッパでの高額な費用

 円安とヨーロッパの物価高騰のため、私は会場から徒歩圏内のAirbnb宿泊施設を選んだ。予算制約は難題だったが、医療業界で働くインド人の入居者とシェアハウスを楽しむことができた。彼女は学会には参加していなかったものの、ユニークな文化交流の機会となった。

最後に

 2024年のグラフィック・メディスン学会は、マンガとアニメーションが医療教育やコミュニケーションにどのように貢献できるかについての理解を深める貴重な経験となった。ポスター発表では期待したほどの注目を集めることはできなかったが、世界中の専門家と交流する機会は非常に貴重であった。健康や社会問題への取り組みにおける日本のマンガの役割が広く認識されていることは励みとなり、日本やアジアの同僚との今後のコラボレーションにも期待している。今後は、アニメーション・ワークショップや学会で見た革新的な取り組みをもとに、アニメーションと医療の接点をさらに探求し、この有望な分野の発展に貢献していく所存である。

豊田典子(新潟医療福祉大学准教授)

ICTコンサルティング、言語学、医療教育の知見を融合した幅広い専門性を持つ。2012年に応用言語学で修士号を取得し、現在は教育におけるICTマネジメントに関する博士論文に取り組んでいる。
学術分野においては、言語習得、プログラミング教育、医療コミュニケーションに焦点を当てた研究を展開。医療現場における多様な患者層との効果的なコミュニケーションを重視し、言語の壁を取り払うための取り組みを行っている。
現在、医療の言語的側面を探求しながら、英語や医療コミュニケーションの教育に携わっている。また、アニメやマンガを学ぶ大学生への関与を通じて、医療分野におけるコミュニケーションスキルの育成に尽力している。
学術活動以外でも、2002年から日本における移民の子どもたちの支援活動に取り組んでいる。その経験から、多様化する日本社会が医療システムに混乱をもたらしていること、そしてマンガやアニメなどのグラフィックが非日本語話者の支援に大きく寄与していることを実感している。
愛読書は『ブラックジャックによろしく』。医療テーマを扱ったこの作品は、彼女の医療コミュニケーションへの情熱や、マンガの持つ独自の物語性と共鳴する。